2021/09/16
小3生「50年前の手法」でイチから米作り 費用はお年玉貯金から捻出、休耕田借り挑戦
大好きなお米を作りたい-。神戸市西区の市立井吹東小3年、新宅佑輔君(8)が今年、田植えから稲刈りまでを体験する米作りに挑んだ。地元農家らの協力もあり、新学期にはその過程をまとめた自由研究を学校に提出。新宅君は「虫取りと稲刈りが楽しかった」と振り返る。
【写真】新宅君が米作りの過程をまとめた夏休みの自由研究
新宅君は朝にパンを食べた後もご飯を食べ、夕飯には3杯おかわりをする大の白米好き。「どうやってお米ができるのかを知りたい。自分でも作りたい」。そんな新宅君の願いを受け、母雅美さん(46)が地元農家の中井知広さん(59)に相談。10年ほど使われていなかった同区神出町宝勢の休耕田約600平方メートルを借りるなどして春から米作りを始めた。
もちろん農業経験はなく、「師匠」の中井さんら周辺農家の助けを受けながら、試行錯誤してコシヒカリを育ててきた。中井さんいわく「50年前のやり方」という、昔ながらの米作りにこだわった。無農薬で手作業が中心。刈った稲も機械を使わず脱穀まで天日干しにして乾燥させた。
そのため5月の田植え以降は雑草との戦いだった。新宅君は毎週末、田んぼに出向き汗を流した。足元が泥でぬかるむ中、草を抜くのは大変だったという。それでも、米作りに取り組むうち「トイレ貸すで」などと近所の農家らが話し掛け、励ましてくれた。8月の長雨や悪天候の影響で成長した稲穂が倒れ、想定より収穫は落ち込んでしまったが、稲刈りの際には10人ほどが手伝いに来てくれた。
中井さんは「何でもよう言うことを聞く。大人になってからも農業に関心を持ち続けてくれたらなあ」とほほ笑む。
肥料などの費用は新宅君のお年玉貯金から捻出した。米は知人らへ販売することを計画していたが、収穫量の関係で断念。新宅君は「借金まみれや」と嘆くが、「自分のお米やから、まずは何もつけないで食べたい」と精米を待ちわびる。
稲の成長や田んぼで発見した昆虫などの写真とともに、米作りの中で気付いたことを模造紙に記し、夏休みの自由研究にまとめた新宅君。担任の先生からは「字がきれいになった」と褒められたそうだ。
雅美さんは「コロナのステイホーム期間を利用して、学校ではできない学びができた。よくやり切ったと思う。おにいちゃんになったね」と成長を喜んだ。(名倉あかり)
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